GO GBコラム

事前キャンプを知ろう

英国人の社交の場「ブリティッシュパブ」を横浜で堪能しよう

東京 2020 オリンピック・パラリンピックの英国代表チームのホストタウンとなっている横浜市。横浜市は、幕末の横浜港開港によっていち早く英国文化を取り入れた土地でもあり、現在も街の至るところに英国の文化が根付いています。
今回は、英国をより深く知るきっかけとして、英国独自の文化のひとつである「パブ」についてご紹介します。
横浜でブリティッシュパブを構えて15年。「フルモンティ」を経営するプール・クライヴさんと道心華衣さんに、英国のパブ文化や本場のブリティッシュパブの楽しみ方、GO GB 2020に向けた思いを伺いました。
この機会に、本場のブリティッシュパブを体感し、英国文化に触れてみるのはいかがでしょうか?

英国人になくてはならない社交の場、パブ

パブとは、英国で発達した大衆酒場のこと。英国を語る上でなくてはならない存在です。英国映画でもよくパブのシーンが登場し、パブの風景が英国人の日常に溶け込んでいる状況が伺えますが、英国人にとって「パブ」とはどのような場所なのでしょうか。

歴史を辿ると、正式名称「Public House(公共の家)」の名の通り、パブは「家」から生まれました。英国人が家に人を招き社交場にしていた風習がやがて外に持ち出され、宿泊所や雑貨屋、クリケット場などに機能として併設されていき、現在の「パブ」へと進化していったのです。
親しい友人・知人と集まり、お酒や会話を楽しむという英国人のコミュニケーションのあり方が、パブの原点にはあるのです。

(プール・クライヴさん)
「パブは、私たち英国人の「社交の場」です。英国人は、人と出会い、お酒を酌み交わし、会話を楽しむことが好きな国民なので、仕事の後や、休日に家族で「ちょっとパブに行こうよ!」というふうにパブに出向きます。どんなシーンでも気軽に訪れることができるのがパブの良さですね。」

(道心華衣さん)
「グループで来るのもいいし、もちろん1人で来るのもいい。そのときに、その場にいる人と会話を楽しむ。でも決して交流を強制されるわけではない、という心地よい距離感もパブならではの魅力です。中には開店と同時に来て、閉店近くまでゆっくり飲みながら1人で過ごす人もいます。
このように思い思いに過ごせる自由さがあるからこそ、パブは英国人にとってリラックスできる大切な場所となっているのです。パブは、日本には存在しない独特の文化ではないでしょうか。」

近年はパブでの喫煙がNGになったことも受け、英国ではキッズフレンドリー(子ども歓迎)のパブも増えているのだそう。日本の居酒屋でキッズスペースやキッズメニューが提供され始めた流れと似たものが感じられます。

「サイダー」と「英国を感じる味と香り」で本場のブリティッシュパブを体感しよう!

本場のブリティッシュパブならではのメニューにはどんなものがあるのでしょうか。さっそくお2人に紹介していただきました。

まずはドリンク。ブリティッシュパブの代表的なドリンクといえば、ビールとサイダーです。とくにサイダーは日本の一般的な居酒屋には置いていないので、日本人にとっては珍しい飲み物ではないでしょうか。サイダーとは「りんご酒」のこと。フランスでは「シードル」と呼ばれています。

(道心華衣さん)
「サイダーは、英国以外にもフランスやスペイン、ドイツなどさまざまな国でつくられていますが、英国にはサイダー専用のリンゴを栽培し、昔ながらの製法でつくられたものもあります。ブリティッシュパブを訪れたら、ぜひサイダー文化の奥深さにも触れていただきたいです。」


フルモンティでは、70種類ものサイダーを取り扱っている。本場さながらの品揃えに、遠方からわざわざ足を運ぶ方もいるのだそうだ。英国のサイダーは500mlの瓶に入っているものがメジャーで、それぞれグラスに注いで味わう。

ビールはpint(パイント)という単位で提供され、「pint」か「half−pint」どちらかを選ぶのが主流です。(ちなみに1pintは約568ml)。

次は食べ物です。ブリティッシュパブで欠かせない食べ物といえば、「フィッシュ&チップス」や「ミートパイ」、「ローストディナー」。英国を代表するソウルフードです。


「ミートパイ」
お肉等の煮込みをパイ生地に閉じ込めてオーヴンで焼いた料理。フルモンティではパイ生地から全て手作り。


「ラムステーキ&マッシュ with ホームメイドグレービーソース」
 グレービーソースは牛骨を5時間オーブンでゆっくり火を通しながら煮こんで作るイギリス料理に欠かせないソース。


「フィッシュ&チップス」
白身のお魚に纏わせる小麦粉とビールで作った衣がフワフワサクサクの食感を演出。

「日本にかつおや昆布のだし文化があるように、英国にも母国を感じる香りがあります。夕方に街に広がるグレイビーソースの独特の香りです。当店にも、母国の味を求めて英国人のお客様が多くいらっしゃるんですよ。」と道心さん。

フードとドリンクはカウンターで注文し、キャッシュオンで精算します。グループの場合は、1人ずつ順番に全員のドリンクを注文するRound of Drinks(ラウンド制)という独自のルールの存在も、知っておくとより楽しめるかもしれません。

サイダーと英国を感じる味と香り、そして出会いと楽しい会話がブリティッシュパブの醍醐味です。ぜひ足を運び、本場感を味わってみてはいかがでしょうか。

英国ゆかりの地である横浜で、改めて英国文化を発信したい

最後に、お2人にGO GB 2020に向けての思いを伺いました。

(プール・クライヴさん)
「横浜は開国をしていち早く英国文化を取り入れた、英国ゆかりの土地です。2020年のオリンピック・パラリンピック期間に、横浜市が英国代表チームをホストタウンとして迎えるにあたり、改めて英国文化を発信していきたいと思っています。
個人的には英国の国技であるフットボールとラグビーが好きなので、当店に集まったお客様とスポーツ観戦を楽しみながら、英国の文化にも触れていただく機会を作ることができれば嬉しいです。」

(道心華衣さん)
「この機会に、英国の食文化の素晴らしさについて改めて知っていただきたいです。あまり認識されていませんが、実はサンドウィッチやローストビーフなどの身近にある料理は英国発祥の食べ物。横浜にも至るところに英国の文化が散りばめられているのに、日常に溶け込んで見えなくなっています。
英国文化を改めてクローズアップするイベントなどを企画し、オリンピック・パラリンピック観戦や観光等で横浜を訪れるたくさんの人に、もっと英国文化の素晴らしさを知ってもらいたいです。」

今回は、英国を語る上で欠かせないブリティッシュパブについて紹介しました。
日本ではなかなかなじみのないパブ文化ですが、一度足を踏み入れると、知らない人同士でも気軽に話せる英国式の温かいコミュニティが待っています。
ぜひ、この機会に本場のブリティッシュパブを体感してみてはいかがでしょうか?

取材:GOGBコラム担当ライター:松村茉莉
撮影:GOGBコラム担当カメラマン:山本美賢