GO GBコラム

事前キャンプを知ろう

草花の“自然美”を体感できる「イングリッシュガーデン」を訪れてみよう!

東京 2020 オリンピック・パラリンピックの英国代表チームの事前キャンプホストタウンになっている横浜市。
横浜市は、幕末の横浜港開港によっていち早く英国文化を取り入れた地でもあります。
今回は、英国文化を体感できるスポットとして、横浜イングリッシュガーデンをご紹介します。案内してくれたのは、横浜イングリッシュガーデンのガーデナー黒田智史さん。2,000品種、2,200株以上の圧倒的なバラの風景。そして四季折々さまざまな植物が育ち、訪れるたびに違う表情を見せてくれるイングリッシュガーデンならではの魅力と、それを育んだ英国文化について教えていただきました。

草花の自然美を楽しむのが、イングリッシュガーデンの醍醐味

イングリッシュガーデンとは、18世紀〜19世紀に始まったイギリス式庭園の流れを汲んだ「自然美を楽しむお庭」のこと。自然をそのまま切り取ったような、野生的で力強い草花の美しさを感じられるのがイングリッシュガーデンの醍醐味です。イタリア式庭園やフランス式庭園の幾何学な様式とは異なり、左右非対称で奥行き感のあるイングリッシュガーデンの風景は、日本庭園の美しさとどこか似ている部分があります。

(黒田智史さん)

「イングリッシュガーデンのポイントは、「自然風」に「混栽」です。人工でありながら、さまざまな植物が混ざり合って自然の風景を作り出しているところに良さがあります。しかし、自然だからといって手入れをせず放ったらかしにして良いというわけではありません。それぞれの植物の特性を理解し、植える時期や配置をうまく計画していくスキルが求められます。
ポイントは、その環境に合った植物をチョイスすること。イングリッシュガーデンだからといって英国の植物にこだわる必要はなく、ご自身の好みの植物にチャレンジしていただきたいです。」

英国の園芸文化と日本の関わり

英国の庭文化が大きく変革していったのは18世紀〜19世紀ごろ。もともと自生する植物が少なかった英国に、世界中に送られたプラントハンターによって多くの植物が持ち込まれたのがきっかけでした。当時、英国を含む北ヨーロッパ諸国から、アジア、アフリカ、中南米へとプラントハンターが訪れ、貴重な植物を採集していきました。日本からはアジサイやノギクなどがヨーロッパへと持ち帰られたそうです。
その後英国では、ロンドンの植物愛好家によって「ロンドン園芸協会」が設立され、園芸文化が育まれていきました。

日本原産のアジサイ(ガクアジサイ)は、シーボルトがオランダに持ち帰ったことで育種が進んだといわれている。その時に持ち帰ったガクアジサイは、日本の妻・お滝にちなんで「ハイドランジア・オタクサ」と名付けられた。イングリッシュガーデンでは6月にはアジサイ鑑賞も楽しむことができます。
英国の園芸文化は、1990年代〜2000年代にかけて日本で大ブームとなりました。
日本でも有名なバラのナーセリー、デヴィット・オースティンさん。線が細く柔らかい印象のイングリッシュローズがとても人気になりました。
横浜イングリッシュガーデンでも、今では手に入りにくいデヴィット・オースティンのローズコレクションを複数。

2020年秋〜2021年春!横浜イングリッシュガーデンの見どころは?

横浜イングリッシュガーデンでは、横浜市の花であるバラを基調に、春には30品種以上のサクラ、初夏には約300品種ものアジサイなど、四季折々さまざまな草花が咲き誇ります。黒田さんに2020年秋〜2021年春の見どころを伺いました。

(黒田智史さん)

「横浜イングリッシュガーデンでは多種多様な植物を育てていますが、10月中旬から11月末にかけては秋バラが見頃です。春と秋にそれぞれバラの見ごろがありますが、秋のバラは色も香りも良く、大振りなものを楽しめるのが特徴です。とくに今年のバラは大振りですね。秋は少しずつ気温が低くなっていくので、バラがゆっくり大きく咲いていくんです。深みのあるボルドーカラーは、ゆっくり咲くからこそ出る色です。」

握りこぶしぐらいあるバラの花が見事に並んでいる。バラらしいダマスク香やさわやかなフルーツ香など香り高いバラがたくさん!

「春は5月上旬〜中旬がバラの見頃です。横浜イングリッシュガーデンの目玉、全長約50mのローズトンネルは、5月中旬ごろに満開になります。トンネルがバラの花で埋め尽くされ、歩くだけで芳醇な香りが漂います。5月初旬から中旬にかけては、ローズトンネルと周辺のバラの開花が合わさる貴重な時期です。私たちガーデナーは、気温や湿度、日照などの微細な変化を観察し、この時期に一斉にバラが咲くように工夫しています。ここがガーデナーの腕の見せ所ですね。ぜひ、多くの方に美しいバラが咲き誇る風景を楽しんでいただきたいです。」

今回は、英国の庭園文化から始まったイングリッシュガーデンを紹介しました。
自然美を愛するという点で、英国人と日本人は近しい感受性があるのかもしれません。
横浜イングリッシュガーデンでは11月24日からクリスマスの装飾も始まります。
季節に合わせた装飾と共にガーデンの景色を楽しめるのも魅力の一つです。ぜひこの機会に訪れてみてはいかがでしょうか?

横浜イングリッシュガーデンWebサイト
https://www.y-eg.jp/

取材: GOGBコラム担当ライター:松村茉莉
写真提供: 横浜イングリッシュガーデン